ナレッジ

  • HOME
  • ナレッジ
  • 平成26年度税制改正大綱(国際課税原則の見直し)その1 外国税額控除の計算にも影響

2013.12.19

平成26年度税制改正大綱(国際課税原則の見直し)その1 外国税額控除の計算にも影響

2013年12月12日、自民党と公明党は、「平成26年度税制改正大綱」を発表しました。

IMG_0738

国際課税の分野については、国際課税原則の見直し(総合主義から帰属主義への変更)が盛り込まれています。この内容を少し見て行きましょう。

 

OECD加盟の主要国においては、外国法人が国内に恒久的施設(Permanent Establishment)(以下、「PE」という)(注1)を有する場合、PEに帰属する所得のみを申告対象とする、いわゆる「帰属主義」が採用されています。

 

(注1)恒久的施設(PE):OECDモデル租税条約5条では、「事業を行う一定の場所であり、企業がその事業の全部または一部を行っている場所」とされています。この定義については、現在、2014年の改定に向けて作業が行われています。

 

一方、日本の現行法では、外国法人が日本にPEを有する場合、PEに帰属していなくてもすべての国内源泉所得について税務申告を必要とする、「総合主義」が採られています。この原則はグローバル・スタンダードから乖離しており、対内投資の阻害要因となっているという声があがっていました。このような声を反映して帰属主義への変更が今回の改正大綱で取り入れられたものと思われます。

 

総合主義から帰属主義への変更は、日本の国際課税の考え方を抜本的に変えるものです。今回発表された大綱でも、【付記】として13ページにわたり内容の詳細が記載されています。

 

改正が実施されれば、特に、日本に支店などのPEを有する外国法人の所得計算に大きな影響があります。しかし、それだけではなく、海外でビジネスを行う内国法人の税金計算に大きな影響を及ぼし、外国税額控除の限度額算定方法の変更も必要とされます。

 

たとえば、現行の国内法では海外PE(海外支店)について法人税法上の国外所得が認識されないため実質的に外国税額控除を受けることができなかったケースにおいて、国内法が帰属主義へ移行することにより、内国法人と海外PEとの間の内部取引に基づく未実現利益が国外所得として認識され外国税額控除限度額が発生し、結果として外国税額控除を受けることが可能となります。

 

ただし、【付記】では、内国法人が外国税額控除の適用を受けようとする場合には、海外PEに帰属する所得に係る文書化を義務付け、税務当局からの求めに応じて、提示または提出しなければならないとされており、さらに、国外のPEに帰属する所得の算定において、海外PEへの共通費用の配賦計算に関する書類の作成が求められています。

 

このように、内国法人にとっても事務負担の増加が予想されますので、今後の税制改正の動向には充分に注意する必要があるでしょう。

 

なお、この改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成29年分以後の所得税について適用される予定ですが、今後の国会における法案審議の過程において、修正・削除・追加などが行われる可能性があることに充分ご留意下さい。

 

以上

 

朝日税理士法人は、会社設立支援、企業組織再編税制、連結納税制度導入、事業再生の業務等、様々な税務・会計サービスを提供しております。また、弊社は、朝日ネットワークスインドネシア(株)、朝日ネットワークス(フィリピン)(株)、朝日ネットワークス(タイランド)(株)と連携し、移転価格文書化等、各種国際税務サービスを提供しております。

ご質問・ご相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

 ContactUs_blue   f_logo_RGB-Blue_100   国際税務ニュースレター

一覧へ戻る