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2013.07.26

移転価格税制の仕組みと国外関連者

今回は、移転価格税制のお話しをしたいと思います。

 

たとえば、日本の親会社がその製品を海外の販売子会社に売る時の価格を、「移転価格」といいます。仮にこの「移転価格」が通常価格より低く決められているとしたらどうでしょう?日本の親会社の売上高や利益がその分少なくなってしまいます(他方で、海外の販売子会社の側では、その分、安く仕入れているので、利益が多くなります)。その結果、日本と海外の間で所得や税額にゆがみが生じてしまいます。移転価格税制は、このような問題に対処するための制度なのです。

 

その(日本の立場からの移転価格税制の)仕組みは、簡単にいうと、日本の法人が「国外関連者」との間で行う取引について、その「国外関連者」から受け取る対価が「独立企業間価格」より少ないとき、または、その「国外関連者」に支払う対価が「独立企業間価格」より多いときは、税務上、その取引を(現実の対価の金額ではなく)「独立企業間価格」で行われたものとみなして取扱う、というものです。

 

ここで、「国外関連者」とは、外国法人のうち、法人と「特殊の関係」があるものをいいます。次の三種類の関係のいずれかがある場合は「特殊の関係」があるとされます。

 

■持株関係

①親子関係等

 二つの法人のいずれか一方が他方の発行済株式総数または出資総額(以下「発行済株式等」)の50%以上を直接的または間接的に保有する関係

②兄弟関係等

 二つの法人が同一の者によってそれぞれその発行済株式等の50%以上を直接的または間接的に保有される場合の当該二つの法人の関係

 

■実質的支配関係

次の事実等が存在することにより二つの法人の一方が他方の事業方針の全部または一部を実質的に決定できる関係

①他方の法人の役員の2分の1以上または代表権限を有する役員が、一方の法人の役員もしくは使用人を兼務している者等であること

②他方の法人の事業活動の相当部分が一方の法人との取引に依存していること

③他方の法人が事業活動に必要な資金の相当部分を一方の法人からの借入れまたは保証により調達していること

 

■持株関係と実質的支配関係が連鎖する関係

 法人と外国法人との間に、持株関係または実質的支配関係の一方または双方が連鎖する関係があること

 

◆親子関係等のイメージ図◆

  x移転価格税制図表(1)Tomita(カーソルなし)

 (前提)

日本親会社は、外国子会社A社の株式を80%保有、A社は外国孫会社B社の株式を60%保有、B社はX社の株式を40%保有

 

(特殊の関係のあるもの)

・親会社とA社、A社とB社(直接保有)

・親会社とB社(間接保有)(※)

 

(特殊の関係にないもの)

X社は、持株比率が50%未満であるため、持株関係の観点からは特殊の関係にない(但し、実質的支配関係の有無につき要検討)。

 

 (※)移転価格税制における間接保有持分割合は、各持分割合をそのまま反映させて把握する(“掛け算方式”は採用しない)。すなわち上記親会社のB社に対する持分割合は60%であり、50%以上であるから特殊の関係に該当する。これに対し、特定外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン税制)では間接保有持分割合を“掛け算方式”で把握するため、上記の例では80% X 60% = 48%であり、50%超(特定外国子会社合算税制の対象)には該当しない。

 

以上、今回は、移転価格税制のキーワードのひとつである「国外関連者」についてお話ししました。次回は、「独立企業間価格」の考え方についてお話ししたいと思います。

 

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