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    「ローカルファイルなど移転価格文書化は親会社主導の時代へ」

朝日税理士法人のブログを掲載します。

2018.05.30

海外進出企業の国際税務入門 第9回
「ローカルファイルなど移転価格文書化は親会社主導の時代へ」

かつて、移転価格文書といえば、ローカルファイルを意味していました。そして、どちらかと言えば海外子会社の駐在員がその作成の重要性を認識し、日本の親会社の少ない関与で作成することが少なくありませんでした。「本社にその必要性を訴えても、緊急の課題として取り上げてもらえない」という、海外駐在員の嘆きを耳にしたこともあります。

 

ところが、平成28年度の日本の税制改正で、移転価格文書化を親会社が中心となって推進して行かざるをえない状況が生まれました。

 

CbCレポートとマスターファイルの導入

 

平成28年度の日本の税制改正では、OECD/G20のBEPSプロジェクト最終報告を受けて、移転価格文書として、ローカルファイルの他に、CbCレポート(国別報告事項)とマスターファイル(事業概況報告事項)が新たに追加されました。同様の動きは、OECD/G20加盟国にも起こっています。

 

(注)CbCレポートとマスターファイルは、日本においては連結総収入で1,000億円以上の多国籍企業グループに作成が求められています。ただし、外国によってはより低い収入基準で作成が義務付けられている場合がありますので注意が必要です。

 

CbCレポートは、多国籍グループの最終親会社(究極の親会社)である日本の企業によって、日本の税務当局に提供され、租税条約に基づく自動的情報交換制度によって海外子会社の所在国の税務当局に提供されます。

 

また、マスターファイルは、多国籍企業グループの構成会社である日本の企業によって、日本の税務当局に提供されるだけでなく、海外子会社を通じて、各国の税務当局にも提出される場合があります。

 

よって、日本の税務当局や海外子会社の所在国の税務当局では、今まで入手することが困難であった情報なども、新たな文書化制度によって入手が可能となるのです。そして、それらの資料や情報を分析・検証することで、より詳細なチェックを容易に行なうことが考えられます。

 

そのため、多国籍企業グループの移転価格対応は、今までのように親会社と海外子会社が別々に準備を進めているのでは、グループ全体の税務リスクを顕在化させかねません。

 

よって、今後、多国籍企業グループは、親会社主導によりグループの統一的な移転価格ポリシー(移転価格決定に関するグループ内の基本方針)を策定し、それらのポリシーに基づき、親子間、各海外子会社間において整合性のある移転価格文書を準備していく必要があります。

 

親会社主導で移転価格ポリシーを取りまとめるには?

 

親会社主導によりグル-プ全体の移転価格ポリシーを取りまとめる際には、親子間および各海外子会社間で不整合が生じないよう、グループ全体を見渡した上で、ポリシーの設定が行われることになります。

 

しかし、外国によっては、文書化制度、税における実務慣行、及び、執行状況にも違いがある場合もあります。よって、親会社が主導する際には、現地におけるそれらの事情を十分理解した上で、柔軟な対応が必要になってきます。

 

親会社と海外子会社、どちらがローカルファイルを作成するか?

 

移転価格ポリシーが決定し、実際にローカルファイルの作成を行っていく際にも、求められる文書の種類や関係会社の範囲、作成言語、作成期限や提出期限などに違いがあるため、親会社と現地法人である海外子会社のどちらが主導で作成していくのかという問題が生じます。

 

-親会社がローカルファイルを作成するケース

親会社が作成する場合には、そのレポートを海外子会社が翻訳および現地用にカスタマイズすることになります。

 

-海外子会社が作成する場合

親会社から移転価格ポリシー、文書の作成方針、コア情報などを提供してもらい、それに基づいて作成した上で親会社にフィードバックするという流れが必要となります。

 

上記、いずれの場合にも、親会社および海外子会社がそれぞれの国の制度を理解した上で、お互いが情報交換を行い協力しながら、ローカルファイルを作成していくことが求められます。

 

移転価格リスクを軽減するシステム構築を

 

税法は各国独自のものであり、移転価格税制においても、日本と海外子会社の所在地国では大きな隔たりがあることが少なくありません。そのような中、今後、日本で求められる親会社主導によるグローバル移転価格対応を進めるにあたり、両国の法令に対応でき、企業グループとして移転価格リスクを軽減できるようなシステムを構築していくことが求められます。

 

また、移転価格文書は一度作成すればそれで終わりというわけでなく、毎期更新していくことも必要です。移転価格システムの整備とともに、移転価格文書の精度も徐々に高いものにしておく努力が求められることになります。

 

以上

 

【初掲載】

ウェブサイト 「イノベーションズアイ」 コラム 「国際税務」シリーズ 第9回 「ローカルファイルなど移転価格文書化は親会社主導の時代へ」 2018年1月12日

 

朝日の国際税務サービス・移転価格コンサルティング

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