ナレッジ

  • HOME
  • ナレッジ
  • 【連結納税/第32回】電子申告義務化に伴う連結納税制度への影響

2018.07.27

【連結納税/第32回】電子申告義務化に伴う連結納税制度への影響

 平成30年度税制改正で、平成32年4月1日以後に開始する事業年度から、大法人については、法人税等・消費税の申告書の提出、その添付資料の提出につき電子申告が義務化されることになりました。なお、地方税についても国税と同様、大法人には法人住民税、法人事業税の電子申告が義務付けられます。

 当該改正に伴い、連結納税が適用される法人税申告についても、親法人の資本金が1億円超であれば、電子申告の義務化の対象とされることになります。

 

【現状の連結納税制度における税務署への提出書類について】

 当ブログの過去掲載記事「【連結納税/第27回】連結納税における申告手続」の「<ポイント1>連結確定申告書」及び「<ポイント2>個別帰属額等の届出書」に記載しているとおり、現状においては、親法人と子法人で重複して子法人に係る書類を提出している状況にあります。

 

【改正内容について】

 平成30年度税制改正により、親法人が子法人の個別帰属額の届出書等を含めて電子申告を行うことによって、子法人は個別帰属額の届出書等の提出が不要になります。なおこの改正については、平成32年4月1日以後終了連結事業年度からの適用となりますが、一方で電子申告義務化については、平成32年4月1日以後開始事業年度からの適用となり、適用開始時期にズレがあります。つまり、たとえば平成32年4月決算の場合であっても、親法人が子法人の分もあわせて書面での提出ではなく電子申告を選択し提出することにより、子法人は個別帰属額の届出書等の提出をする必要がなくなります。

 

【税制改正の留意点】

 子法人の「会社事業概況書または法人事業概況書」についても、これまでは子法人で提出しておりましたが、改正により親法人がまとめて電子的に提出することが必要になります。

 また、親法人の資本金が1億円以下の場合は、電子申告の義務化の対象にならないため、電子申告ではなく書面で提出した場合については、子法人は従来通り、個別帰属額の届出書等の提出が必要になります。

 なお、消費税や法人事業税・法人住民税といった税目については連結納税制度の適用はありませんので、個々の子法人ごとに電子申告義務化の対象かどうかの判断を行い、資本金が1億円超の場合については、電子申告が必要になります。

 国税庁HPで「大法人の電子申告の義務化の概要」を公表しておりますが、「よくある質問(Q&A)」で、義務化の対象となる資本金1億円超であるかどうかについては事業年度開始の時に判定するとあります。また、電子申告義務化の対象となる法人が電子申告により申告書を提出せず書面により提出した場合、その申告書は無効なものとして取り扱われることとなり、無申告加算税の対象となるとありますので、注意が必要です。

 

【自身の体験】

 初めて実務で親法人と子法人の連結納税の申告を行った際、上記のとおり提出書類で重複する内容が多く、疑問をもったのを覚えています。また、当時は電子申告ではなく書面で提出する法人も多かったため、申告準備にも時間を要しました。

 今回の税制改正によって、子法人が提出すべき書類がなくなり、同一書類の二重提出が解消できますので、かなりの事務負担の軽減につながると思います。

以上

一覧へ戻る