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2013.11.08

タイの移転価格税制 その4【文書化】

タイの移転価格税制シリーズの4回目です。

今回は、タイの移転価格税制に係る文書化について見て行きましょう。

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日本企業のタイ子会社などでは、BOI(タイの投資委員会)の投資奨励政策によるタイ法人税の減免を受けている、または、進出直後で赤字であるなどの理由で、移転価格税制もふくめ法人税法を意識しない傾向にあります。

 

しかし、海外関連会社との取引がある外資系企業のうち、特に、法人税の減免期間が終了した企業や継続的な赤字を抱えている企業は移転価格調査の対象となりやすいことに留意が必要です。

 

タイの税法上、移転価格調査の更正期限は、原則、申告書提出期限から5年です。よって、税務当局が移転価格を適正でないと判断すれば、たとえBOIの減免期間であっても通常は過去5年以内であれば所得を更正できるということに注意する必要があります。

 

ところで、移転価格税制に係る文書化とは、概して言えば、移転価格(国外関連者との取引価格)の検証過程を客観的な書類で残しておくことです。各国の税法により、文書化の要件は異なります。

 

タイにおいては、移転価格に係る文書化は、国会の法案審議の段階にあり、税法上は義務化されていません。しかし、税務当局は税務調査の対象をしぼりこむにあたり、海外関連会社との取引がある企業に、当該取引の詳細に関する質問状と資料請求リストを送付しています。

 

この資料請求リストは税務当局である歳入局通達(No. Paw 113)で定めるもので、リストに掲げられた書類は、タイの税実務上、移転価格に係る文書と理解されています。

 

資料請求リストに掲げられる書類は以下のとおりです。

 

(a)グループ関係会社(注1)の組織図および各会社の事業内容

(b)予算、事業計画、将来財務予測

(c)事業戦略とその戦略の採用理由

(d)売上規模および損益の状況、並びに、グループ関係会社との取引の内容

(e)グループ関係会社と国際取引を行う理由

(f)各関係会社の機能、所有資産および負担するリスクを考慮した上での移転価格算定方針、各製品の収益性、各事業の市場情報、及び、利益への貢献

(g)その移転価格算定方法を採用した理由

(h)複数の移転価格算定方法がある場合に、他の移転価格算定方法を採用しなかった理由

(i)グループ関係会社取引に係る基本原則と交渉過程

(j)価格決定に係るその他の書類(もし、あれば)

 

(注1)    グループ関係会社:経営、管理、資本関係についてお互いに直接・間接的な関係を有する法人で構成されるグループ内の法人をいう。

 

上記の文書と記録が充分に整備され、それらが移転価格とすべき市場価格の算定について適切である場合、税務調査官は法人の移転価格の算定方法を受け入れます。

 

歳入局通達では、上記の資料の提出期限は設けられていません。しかし、実務では、税務当局より上記の資料の提出要請があった場合は、通常1ヶ月程度のうちに提出することが求められます。これらの資料を遅滞なく合理的な期間内に提出しなかった場合には、税務当局の推定課税(注2)を是認することになり、納税者は不利な立場に立たされると言わざるをえません。

 

(注2)税務当局が類似の取引を行う第3者から入手した情報などの自らの独自のデータ(シークレット・コンパラブル)等を元に市場価格を推定して課税すること

 

要請があった時にただちに移転価格文書を提出できれば、税務当局との議論はその内容に基づき行われることになります。その場合、税務当局側が、納税者の移転価格算定方法が正しくないことを証明せざるをえません。

 

移転価格調整に係る更正は、一般的に多額となり、追徴税に加え、月利1.5%の延滞税、最高で100%の罰金が科されます。

 

税務当局との論戦を有利に展開し、課税所得を更正されるリスクを軽減するためにも、あらかじめ、タイの企業と海外関連会社間の移転価格に係る文書を準備しておくことが勧められます。

 

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