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2015.04.16

移転価格リスクと向き合う⑦—経産省報告書「BEPS移転価格文書化対応及び海外子会社管理の在り方について」

本年4月3日、経済産業省は、「BEPSを踏まえた移転価格文書化対応及び海外子会社管理の在り方について」という調査報告書を公表しました。

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BEPSとは、Base Erosion and Profit Shifting の略(日本語訳は「税源浸食と利益移転」)で、多国籍企業が各国の税制の違いや租税条約等を利用して所得を軽課税国・無税国に移転し、グローバルに租税負担を免れていることを指します。このBEPSに対応するために、2012年より、経済協力開発機構(OECD)とG20は15項目の行動計画を掲げて、勧告等を行っています。

 

このうち行動計画13(移転価格関連文書化の再検討)においては、多国籍企業がグループ全体の財務情報や事業情報等を、「国別報告書」、「マスターファイル」、「ローカルファイル」とよばれる共通化された様式にしたがって、従前以上の情報を各税務当局に提供することが要請されています。

 

今回公表された経産省報告書は、この行動計画13に関して、今後の国際交渉に当たり日本が発信すべき事項、および、国内法制化に際しての論点について精査することを目的としています。また、行動計画13への対応を含めた日本企業のグループ内の情報共有体制や税務リスクマネジメントの在り方についても検証を行っています。

 

さらに、同報告書では別紙資料として、11の資料が掲げられています。たとえば、別紙1は2014年に公表された「移転価格文書化及び国別報告書に関する指針」の、別紙3は2015年2月に公表された「移転価格文書化及び国別報告書の実施に関する指針」の日本語訳になっており、行動計画への対応を考えるにあたって有用と思われます。同様に、別紙10では行動計画と日本の現行法の比較が、別紙11では、以下の新興国等における税務申告書の抜粋日本語訳が掲げられているので、実務に役立ちそうです。

 

◆税務申告書の抜粋日本語訳が掲載されている国々

  • インド
  • インドネシア
  • シンガポール
  • タイ
  • 台湾
  • 中国
  • フィリピン
  • ブラジル
  • ベトナム
  • マレーシア

 

 なお、行動計画13では、マスターファイル、ローカルファイル作成の対象年度、対象企業について、特に明記されていません。一方、国別報告書の対象事業年度は2016年1月1日以降に開始される事業年度とされています。また、対象企業は、前事業年度の連結グループ年間売上高が7億5,000万ユーロ(為替レートを133円/ユーロと仮定すると約1,000億円)以上の多国籍企業ですので、該当企業は同報告書を参照しながら早急に作成準備を進めて行く必要があるでしょう。

 

 以上

 

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