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2017.10.27

【連結納税/第25回】時価評価制度の見直し

(税制改正項目)

平成29年度税制改正で、連結納税に関する見直しが久々に行われました。

スクイーズアウトの組織再編化に伴う改正で、次の2項目となります。

① 時価評価制度の見直し

② 連結納税開始または加入時の連結子法人の繰越欠損金の持込み

 

 適用開始は「平成29年10月1日」です。

 

(時価評価制度とは?)

連結納税開始または加入前に、連結子法人の資産の含み損益を計上し、課税関係を精算した後に連結納税を適用します。含み損益を有する法人を連結グループに加入させることにより、その含み損益を実現させ、グループ内の所得を通算させる租税回避行為を防止するためです。

 

対象資産

改正前

改正後

資産の種類

①固定資産(自己創設のれんを含む)

②土地等(棚卸資産である土地を含む)

③金銭債権

④有価証券(売買目的有価証券、償還有価証券を除く)

⑤繰延資産

①固定資産

②土地等(棚卸資産である土地を含む)

③金銭債権

④有価証券(売買目的有価証券、償還有価証券を除く)

⑤繰延資産

資産の価額

上記の資産で「含み損益」が次のいずれかの金額の「少ない方の金額」以上の場合

①資本金等の額の1/2

②1,000万円

上記の資産で「帳簿価額が1,000万円未満の資産を除く」

※帳簿価額が1,000万円以上の場合に

は、改正前同様の適用

 

改正前と改正後を見比べてどうでしょうか?

まず「資産の種類」で改正後には「自己創設のれん」がありません。

次に「資産の価額」で改正後は「帳簿価額1,000万円未満を除く」となっています。

 

(実務上の影響は?)

改正前は「含み損益が次のいずれかの金額の少ない方の金額~」で、その含み損益がいくらになるかは「時価評価」をしないとわかりません。法人税法上「時価=通常の取引価額」となっており、具体的にどのように計算した金額を指すのかは明確ではありません。

例えば土地であれば、不動産鑑定士に依頼するのが一般的かもしれませんが、当然鑑定報酬がかかります。対象となる連結子法人が多くの土地を所有していれば、鑑定報酬も鑑定に係る時間も多くなります。

またその土地の含み損益が思っていた以上に多額で、所得・税額に与えるインパクトが大きすぎる!ということもあります。

それが改正後は「帳簿価額が1,000万円未満の資産を除く」となり、実に明確です。

貸借対照表をみれば、時価評価の必要有無がすぐにわかります。

実務上とてもありがたい改正です。

また改正後の「自己創設のれん」がないのは、外部から購入したものではないため帳簿価額は「0円」(帳簿価額1,000万円未満)だからです。

自己創設のれんも時価の算定には、通常外部の専門家に依頼するので、こちらも土地同様に実務上の緩和といえます。

以 上

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