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2022.09.28

【グループ通算/第4回】グループ通算制度の手続きについて

  今回は単体申告からグループ通算制度導入、連結納税制度からグループ通算制度または単体申告への移行についての各手続きをご紹介します。

■単体申告からグループ通算制度導入へ

(1) 申請

 単体申告からグループ通算制度へ移行するには「通算制度の承認申請書」を提出し承認を受ける必要があります。

 親法人及び子法人が、通算承認(グループ通算制度の適用に係る国税庁長官の承認をいいます)を受けようとする場合には、原則として、その親法人のグループ通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日の3カ月前の日までに、その親法人及び子法人の全ての連名で、承認申請書をその親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出する必要があります(法 64 の9②)。

 例えば、3月決算法人の場合は12月31日までが申請書の提出期限となります。

(2) 申請の却下

 承認申請書の提出があった場合において、次のいずれかに該当する場合はその申請を却下される可能性があるので注意が必要です(法 64 の9③)。

イ  通算予定法人(グループ通算制度の適用を受けようとする親法人又は子法人をいいます)のいずれかがその申請を行っていないこと。

ロ  その申請を行っている法人に通算予定法人以外の法人が含まれていること。

ハ  その申請を行っている通算予定法人について、下記のいずれかに該当すること。

・所得の金額又は欠損金額及び法人税の額の計算が適正に行われ難いと認められること。

・前目の規定の適用を受けようとする事業年度において、帳簿書類の備付け、記録又は保存が青色申告法人の帳簿書類について規定する財務省令で定めるところに従って行われることが見込まれないこと。

・その備え付ける帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装して記載し、又は記録していることその他不実の記載又は記録があると認められる相当の理由があること。

・法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められること。

(3) 承認(みなし承認)

  承認申請書の提出後、グループ通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日の前日までにその申請についての通算承認又は却下の処分がなかったときは、その親法人及び子法人の全てについて、その事業年度開始の日においてその通算承認があったものとみなされ、同日からその効力が生じます(法 64 の9⑤⑥)。

(4)電子申告の義務化への対応

  グループ通算制度ではe-Taxで申告書類を提出することが求められます。各通算法人が納税義務者になるため、通算親法人だけでなく通算子法人も法人税および地方法人税の申告を行う必要があります。また、グループ通算制度の適用法人は電子申告義務化の対象となることから、通算グループ内各社は過去に法人税及び地方法人税の「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」を提出していない場合は、グループ通算制度の適用開始事業年度開始の日から1カ月以内に所轄税務署長に提出が必要です。

(5)申告書提出書類延長への対応

 グループ通算制度への移行に伴い、確定申告書の提出期限の延長する場合は「定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書」を最初に適用を受けようとする事業年度終了の日の翌日から45日以内に通算親法人が所轄税務署長に提出する必要があります。通算子法人は当該届出書を提出したとみなされ、当該届出書を提出することはできません(法 75 の2③⑪)。

■連結納税制度からグループ通算制度への移行

 連結納税制度の承認を受けている法人は、原則として、令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度の開始の日において、通算承認があったものとみなされ、同日からその効力が生じます(改正法附則 29①)ので、特段の手続きは不要となります。

 ただし、通算グループ内各社が上記④の「e-Taxによる申告の特例に係る届出書」の提出がされているか確認が必要です。

■連結納税制度から単体申告への移行

 連結法人は、その連結法人に係る連結親法人が令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度開始の日の前日までに税務署長に「グループ通算制度へ移行しない旨の届出書」を提出することにより、グループ通算制度を適用しない法人となることができます(改正法附則 29②)。

 「グループ通算制度へ移行しない旨の届出書」を提出することにより、その承認日の属する事業年度終了後5年を経過する日の属する事業年度終了の日を経過しないと、グループ通算制度の適用を受けて通算法人となることができないため留意が必要となります。

※制度全体については、第1回、第2回のブログにてご紹介しておりますので、そちらをご参照ください。次回は「グループ通算制度導入スケジュール」を紹介する予定です。

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