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2023.11.28

【グループ通算/第16回】 グループ通算制度の加入に伴う子法人の留意点

 グループ通算を行っている法人に新たに100%株式を保有された法人がある場合、通算子法人として取り扱われることになります。今回は、グループ通算加入時の手続きと中間納付について留意点をご紹介したいと思います。

グループ通算加入時の届出

 原則として、通算親法人等が発行済株式の全部を取得した日(完全支配関係を有することとなった日)にグループ通算制度の承認が下りたものとみなされるため、グループ通算制度を開始する場合と異なり、承認申請を行う必要はありません。ただし、下記の書類を遅滞なく提出する必要があります。

〈提出者:通算親法人、提出先:通算親法人の所轄税務署長〉

(1) 完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類及びグループ通算制度への加入時期の特例を適用する旨を記載した書類(兼)e-Taxによる申告の特例に係る届出書(初葉)
(2) (1)(次葉)
(3) 付表2(発行済株式等の状況)

[添付書類]
(4) 出資関係図(通算子法人となる法人に対する持株割合を記載した出資関係図)
(5) グループ一覧(通算親法人となる法人及びすべての通算子法人となる法人等を記載した一覧表)

〈提出者:加入する通算子法人、提出先:通算子法人の所在地の都道府県知事及び市町村長〉

(6) 法人税に係るグループ通算制度の承認等の届出書(※届出名称は東京都の場合)
(7) 申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認等の申請書(法人税で延長の特例を受けている場合)

[添付書類]
上記(1)、(2)、(5)の写し(通算親法人から写しの交付を受け、提出してください)

<Point:加入時期の特例>

 子法人の通算加入日が期中(月中)の場合、上記の①に加入時期を記載して提出することにより、加入日の翌月初または翌期首に加入したものとして扱うことができる加入時期の特例が設けられています。
 なお、加入時期の特例を適用した場合の、事業年度および申告方式は以下の通りです。

Ex) 3月決算法人がX1年7月10日にグループ通算制度に加入した場合

〈原則〉
・X1年4月1日~X1年7月9日をみなし事業年度として単体申告を行い、Ⅹ1年7月10日から通算制度に加入

〈加入時期の特例 (1)-翌月初加入〉
・X1年4月1日~X1年7月31日をみなし事業年度として単体申告を行い、Ⅹ1年8月1日から通算制度に加入

〈加入時期の特例 (2)-翌期首加入〉
・X1年4月1日~X2年3月31日で単体申告を行い、Ⅹ2年4月1日から通算制度に加入

■中間納付額の留意点  

 加入した通算子法人(通算親法人の事業年度開始の日以後6月経過日において、通算親法人との間に通算完全支配関係がある場合に限る)の中間納付額は、原則として単体申告時の前期納税実績額を考慮して計算された金額となります(ただし、仮決算も可)。
 原則の場合、計算式は以下のようになります。

〈法人税及び地方法人税〉
前事業年度の税額 ÷ 前事業年度の月数 × 中間期間の月数(※1)

〈法人事業税・特別法人事業税〉
前事業年度の税額 ÷ 前事業年度の月数 × 中間期間の月数(※1)

〈法人住民税法人税割〉
前事業年度の税額 × 中間期間の月数(※2) ÷ 前事業年度の月数

〈法人住民税均等割〉
算定期間(事業年度開始の日から中間期間の月数(※2))の実績により計算
(税率の判定に用いる資本金等の額は、前事業年度末のもの)

※1 通算子法人の場合は、通算子法人の事業年度開始の日から、その日の属する通算親法人の事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日までの月数を乗じます。
※2 通算子法人の場合は、その事業年度開始の日から、その日の属する通算親法人の事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日までの期間と読み替えます。
上記の月数についてはいずれの場合も、1か月に満たない端数は切り上げます。

<Point:加入時期の特例を適用した場合> 

 完全支配関係発生時期にかかわらず、通算加入日前日の属する事業年度(単体申告)の税額と月数に基づいて計算します。よって、原則適用時と比べ中間納付額は異なる場合があります。

Ex) 3月決算法人がX1年7月10日にグループ通算制度に加入した場合

〈原則〉  

 中間納付額=単体申告納税額 ÷ 4 × 3(※3)

〈加入時期の特例 (1)-翌月初加入〉

 中間納付額=単体申告納税額 ÷ 4 × 2(※3)

〈加入時期の特例 (2)-翌期首加入〉

 中間納付額=単体申告納税額 ÷ 12 × 6(※3)

 
※3 法人住民税法人割の計算においては、割り算と掛け算の順が逆になります。

中間納付の納付時期の留意点

 連結納税:加入した時期によって、連結子法人の地方税の中間納付の時期が異なります。
 グループ通算:加入した時期によらず、通算子法人の中間納付時期は国税、地方税共に親法人に合わせます。

まとめ

 今回はグループ通算制度加入時の子法人の留意点について紹介しました。加入時期の特例を適用するケースは実務でも多く、事業年度の考え方や中間納付額の計算は事前に理解しておく必要があります。

 特例(翌月初特例)を適用した場合、中間納付額の計算はやや複雑ではありますが、国や地方で計算し送付されている中間納付額の資料と付け合わせができるよう、会社側でも中間納付額を計算し確認できるようにしておく必要があります。

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