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2018.02.19

国税庁 タックスヘイブン対策税制Q&A を公表~文書化の参考に

平成29年度(2017年度)税制改正では、タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)についての改正が行われました。当該改正は、外国関係会社の平成30年度4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

 

国税庁は平成30年1月31日に、この改正について、様々な疑問点や典型的な例をまとめたQ&A形式のパンフレット、「平成29年度改正 外国子会社合算税制に関するQ&A」を公表しました。

 

タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)とは

 

タックスヘイブン対策税制は、日本の居住者や内国法人が、税の負担のない国や日本と比べて著しく税率の低い国・地域に子会社等を設立して、それらの子会社等を通じて取引を行うことにより、租税負担を軽減したり、回避したりする行為に対処する目的で導入された制度です。

 

平成29年度(2017年度)税制改正以前は、外国関係会社が租税負担割合20%未満の国・地域にある場合に、日本の居住者や内国法人は、その外国関係会社の所得を持分割合に応じて自らの所得に合算して日本で課税されていました。

 

平成29年度(2017年度)税制改正

 

平成29年度の税制改正では、タックスヘイブン対策税制において、上記の「20%」という租税負担割合基準(いわゆるトリガー税率:20%)が廃止され、20%以上(30%以上の場合は除く)であっても、ペーパーカンパニー等、「特定の外国関係会社」に該当する場合には、会社単位での合算課税が適用されることになりました。

 

また、当該税制の対象となる外国関係会社の判定における「適用除外基準」について内容の見直しが行われ、「経済活動基準」として新たに定義づけされました。さらに、従前より、「適用除外基準」を満たす場合でも外国関係会社が「資産性所得」を有している場合には、合算課税(部分合算課税)がなされていましたが、部分合算課税の対象が、「資産性所得」から「受動的所得」となり、その範囲が拡大されました。

 

「タックスヘイブン対策税制Q&A」の概要

 

今回公表されたQ&Aでは、タックスヘイブン対策税制の平成29年度改正内容等のうち、①「特定の外国関係会社」の判定、②対象外国関係会社の判定における「経済活動基準」、及び、③「部分合算課税」の対象範囲についての疑問点や典型的な例が、Q&Aの形式でまとめられています。

 

概要は以下のとおりです。

 

  I      ペーパー・カンパニー等について

      (1) ペーパー・カンパニーの判定における実体基準について(Q1~Q3)

      (2) ペーパー・カンパニーの判定における管理支配基準について(Q4~Q8)

 

  II     対象外国関係会社の判定に係る経済活動基準における航空機リースについて(Q9~Q10)

 

  III   部分適用対象金額に係る合算課税の対象範囲について(Q11~Q15)

 

 

タックスヘイブン対策税制についても文書化が必要な場合が

 

税務上、「文書化」と聞けば、すぐに移転価格税制を思い浮かべがちですが、タックスヘイブン対策税制についても、文書化が必要な場合があります。たとえば、外国関係会社が、「実体基準」、または、「管理支配基準」を満たせば、ペーパーカンパニーに該当しませんが、税務調査などで国税当局にこのいずれかの基準を満たすことを明らかにする書類等の提出を求められれば、期限までに提出しなければなりません。提出できないときは、当該基準は満たさないものとされます。

 

文書化が不十分なために、ペーパーカンパニーではないのに会社単位で合算課税の適用を受けることは避けなければなりません。今回公表されたQ&Aでは、とくにペーパーカンパニーに関してページ数が割かれていますので、参考になさると良いでしょう。

 

 

以上

 

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