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2021.10.18

国内(ローカル)採用の外国人に支給するホームリーブ費用の課税関係

 会社が役員及び従業員の個人的な費用を負担した場合は、所得税法上、その負担額は給与所得に該当します。しかし、国内において勤務する外国人に対し休暇帰国のため旅費として支給する金品については、次の要件のすべてを満たせば、本人はもとより、家族等の旅費についても給与所得として課税しなくても差し支えないこととされています。

  1. 国内において長期間引続き勤務する外国人に対する支給であること。
  2. 就業規則等に定めるところにより相当の勤務期間(おおむね1年以上の期間)を経過するごとに休暇のための帰国を認めていること。
  3. その帰国のための旅行に必要な支出(その者と生計を一にする配偶者その他の親族に係る支出を含む。)に充てるものとして支給する金品であること。
  4. その支給する金品のうち、国内とその旅行の目的とする国(原則として、その者又はその者の配偶者の国籍又は市民権の属する国をいう。)との往復に要する運賃(航空機等の乗継地においてやむを得ない事情で宿泊した場合の宿泊料を含む。)であること。
  5. その旅行に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の旅行の経路及び方法によるものであること

これらの要件は、昭和50年1月16日付けの国税庁長官による通達(直法6-1)(下記参照)において定められたものですが、そのホームリーブ通達の趣旨から判断すると、「使用者の命令による国内勤務に基づいて支給されるホームリーブ費用」が該当するものと解されます。したがって、このホームリーブ通達は、原則として、海外の会社から日本へ駐在員として派遣される外国人駐在員(以下エクスパットという)が対象であり、もともと日本に居住していた外国人で国内(ローカル)採用された者については、通常、ホームリーブ通達による非課税措置の適用はないものとされています。

現在、新型コロナウィルスの影響により日本企業による外国人の国内採用は停滞していると思われますが、少子高齢化をはじめとした人手不足の状況は変わらないため、今後、日本企業による外国人の採用は増えるものと見込まれます。そのような中、国内採用にともない本国を離れて日本勤務をすることとなる外国人については、エクスパットと同様、ホームリーブ通達による非課税措置の適用の余地があるのではないかと考えられますが、税務当局との間で見解の相違が生じるのを避けるとともに課税リスクを最小限にするため、所轄税務署に対する事前相談を検討してみてもよいかと思われます。

(Y.M.)

以 上

昭和50年1月16日直法6-1(例規)
国内において勤務する外国人に対し休暇帰国のため旅費として支給する金品に対する所得税の取扱いについて
標題のことについて、下記のとおり定めたから、これによられたい。
なお、この取扱いは、今後処理するものについて適用するものとする。
(趣旨)
本国を離れ、気候、風土、社会慣習等の異なる国において勤務する者について、使用者が、その者に対し休暇帰国を認め、その帰国のための旅行の費用を負担することとしている場合があるが、その休暇帰国はその者の労働環境の特殊性に対する配慮に基づくものであることに顧み、使用者がその旅行の費用に充てるものとして支給する金品については、強いて課税しないこととするのが相当と認められるからである。
使用者が、国内において長期間引続き勤務する外国人に対し、就業規則等に定めるところにより相当の勤務期間(おおむね1年以上の期間)を経過するごとに休暇のための帰国を認め、その帰国のための旅行に必要な支出(その者と生計を一にする配偶者その他の親族に係る支出を含む。)に充てるものとして支給する金品については、その支給する金品のうち、国内とその旅行の目的とする国(原則として、その者又はその者の配偶者の国籍又は市民権の属する国をいう。)との往復に要する運賃(航空機等の乗継地においてやむを得ない事情で宿泊した場合の宿泊料を含む。)でその旅行に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の旅行の経路及び方法によるものに相当する部分に限り、課税しなくて差支えない。

【掲  載】ウェブサイト 「イノベーションズアイ」 コラム 
      国内(ローカル)採用の外国人に支給するホームリーブ費用の課税関係

2021年10月18日





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