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2024.03.29

<2024年3月>社団・財団通信_公益認定法改正法案の概要について

 2024年3月5日に「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案」(以下、「公益認定法改正法案」)及び「公益信託に関する法律案」が閣議決定されました。
現時点(3月29日時点)では国会での審議中であり法案成立前の段階ではありますが、公益認定法改正法案の概要について確認していきます。

【1】財務規律の柔軟化・明確化

収支相償原則の見直し

・公益目的事業に係る収支の均衡については、これまでも内閣府から公表されるFAQ等において単年度での達成は必ずしも必要ない旨が示されておりましたが、改正法案において中期的期間(内閣府令で定める期間)での収支均衡を基準とする旨が改めて明確化されます。

・将来の公益目的事業を充実させるための資金を規定するとともに、当該資金の積立てが費用とみなされます。

② 使途不特定財産

・現行の「遊休財産」の名称が「使途不特定財産」に変更されます。

・公益目的事業財産のうち災害等の予見し難い事由が発生した場合においても公益目的事業を継続的に行うために必要となる財産を「公益目的事業継続予備財産」とし、当該財産については使途不特定財産の保有制限の算定対象からは除外されるものとします。

・公益目的事業継続予備財産を事業年度末日において保有している場合には、保有する理由及びその額等について、翌事業年度開始後速やかに公表しなければならないものとされます。

【2】行政手続の簡素化・合理化

 収益事業等の内容の変更について、これまでは変更認定事項とされていましたが、今後は変更届出事項に見直されます。

【3】自律的なガバナンスの充実、透明性の向上

① 区分経理

 区分経理について、これまで認定法上の文言としては「収益事業等の区分経理」とされていましたが、今回の改正案では「区分経理」と条文の見出しが変わり、公益目的事業、収益事業等、法人運営という3区分について区分経理を行うことが原則として義務付けられます。

② 理事・監事間の特別利害関係の排除

 各理事が各監事との間に特別利害関係(一方の者が他方の者の配偶者又は三親等以内の親族である等の関係)を有しないという要件が公益認定基準に追加されます。

③ 外部理事・監事の導入

・理事のうち1人以上について、法人又は子法人の業務執行理事又は使用人でなく、かつ、就任前10年間においても業務執行理事又は使用人であったことがない者等であるという要件が公益認定基準に追加されます(ただし事業年度における当該法人の収益の額、費用及び損失の額等が政令で定める基準に達しない場合等については要件の対象外とされます)。

・監事についても最低1人以上について、就任前10年間において法人又は子法人の理事又は使用人であったことがない者であるという要件が公益認定基準に追加されます。

④ 公益法人及び国の責務

・公益法人の責務として、運営体制の充実や財務に関する情報開示等の透明性の向上を図るよう努めるべき旨が規定されます。

・国の責務として、上記の公益法人の取り組みを促進するため、必要な情報収集・提供等の支援を行う旨が規定されます。

*公益認定法改正法案の施行期日は2025年4月の予定とされております。

以 上

(公益法人チーム)

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