2019.09.27
【連結納税/第38回】続・連結納税制度に関する税制改正の動向
今回は前回から引き続いて、連結納税制度の改正動向をお伝えします。
【専門家会議にて「グループ通算制度(仮称)」の導入について報告】
2018年11月に設置された「連結納税制度に関する専門家会合」は、現在5回の開催を経ており、2019年8月の第5回会合において、連結納税制度にとって代わる新制度「グループ通算制度(仮称)」を導入する一つの方向性が示されました。
【「グループ通算制度(仮称)」とは?】
「グループ通算制度(仮称)」は、連結納税最大のメリットとも言うべき、
◇グループ間での損益通算制度を維持
したうえで、連結納税特有の懸念点であった
◇グループ各社の情報収集など、連結法人税計算にあたっての事務負担の軽減
◇修正申告、更正の際の事務負担の軽減
を目指したものとされています。
具体的には、第2回会合における簡素化案のような、個別申告方式が検討されている模様です。個別申告方式とは、グループ間損益通算を行った上で、各社が個別に申告を行うという方式です。
参考URL:第2回 連結納税制度に関する専門家会合 会議資料
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/30renketsu2kai4.pdf
【グループ内調整計算はどうなる?】
連結納税特有の制度であったグループ内調整計算については、
◇事務負担の軽減
◇制度の乱用可能性
◇同制度を選択していない法人との公平性
等の観点を考慮し、新制度における取り扱いを個別に検討することが予定されています。
【今後の見通し】
新制度の導入により、現行の連結納税制度は廃止となる見込みです。
なお、連結納税制度を適用している企業グループが、①新制度へ移行する 又は ②単体納税制度に戻るかは選択制となる見通しです。
また、新制度の施行時期は税制改正後、1~2年の猶予が設けられる予定のため、早急なシステム対応等は求められない見込みですが、今後の動向に注視する必要があります。
<経緯>
日付 |
会議 |
主な議題 |
2018年10月23日 |
第19回 政府税制調査会総会 |
◇連結納税制度の見直し検討を決定 |
2018年11月7日 |
第1回 連結納税制度に関する専門家会合 |
◇財務省より連結納税制度についての確認 |
2019年2月14日 |
第2回 連結納税制度に関する専門家会合 |
◇経団連、日立製作所、国税庁より連結納税制度の現状報告 |
2019年4月18日 |
第3回 連結納税制度に関する専門家会合 |
◇太陽有限責任監査法人より「連結納税制度に関するアンケート結果」の報告 |
2019年6月26日 |
第4回 連結納税制度に関する専門家会合 |
◇財務省より12点のグループ調整計算等の見直しについての検討報告 |
2019年8月27日 |
第5回 連結納税制度に関する専門家会合 |
◇新制度「グループ通算制度(仮称)」の基本枠組みの報告 |
参考URL:
内閣府 連結納税制度に関する専門家会合 2019年度
https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/renketsu/index.html
内閣府 連結納税制度に関する専門家会合 2018年度
https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/renketsu/2018/index.html